10代から熱い支持を受け続けるホラー作家、山田悠介の作品を知る

物語としてのクオリティ

ただとにかく人が死んでいく

今映画に対する感想を一言で述べるとしたら、『人がおもしろいくらい死んでいきます』という点だ。簡素な答えと思うかもしれませんが、それだけが強く印象付けられている。ホラー作品だから人が死ぬのは仕方のない事だが、そもそも物語の展開から考えても鬼気迫るデスゲームで目的を成し遂げるための白熱した心理戦、といった様子が感じられなかったのも大きいかもしれません。こうした作品では登場人物たちの駆け引きも見どころという風に筆者は見ていたのですが、この映画は原作の設定を既に逸脱しすぎているために斬新さでは色々インパクトはありますが、その分だけ内容がわかりづらくなっていると見えてしまう。

そんなライヴという作品、この物語のあらすじを簡単にまとめてみよう。

作品概要

あらすじ

主人公の田坂直人は22歳のフリーターで、母親と二人暮らし。そんなある朝、直人宛に小包が届き、直後に彼の携帯電話にある動画が送られてきた。それは最愛の母が拉致された様子を写しだしたもので、致死性の高いウィルスを投与されようとしているもの。動画を見た後に電話がかかってくると、母親を殺されたくなければゴールを目指せと指示されるが、何のことかわからない。電話後に届いた荷物を開けてみるとそこには一冊の小説が入っていた。その内容には自身と同姓同名の主人公がデスゲームに参加して母親を助けるために奔走する『ライヴ』という作品だ。

小説を読み解き、そこに記されているヒントを解読しながらマラソンを知ろ、そう指示された直人は母の命をかかっていたために半ば無理やり承諾をする。その後向かった先には直人と同じように拉致された親しい人を助けようとする参加者が集まり、小説に従うよう直人たちは服を着替えてマラソンをする。

しかしそのマラソンは親しい人たちの命だけでなく、自分たちの命も掛けたデスレースだということを知らなかった。レース展開で次々と死という脱落を迎えていく参加者の中で、直人は最後まで生き残ります。やがて彼が知ることとなる真実とは、それは彼と深く関係があることだったのです。

愛する人達の命をかけた、参加者同士の死闘

レースに参加した人々は皆、自分に親しい人間が捕まってしまってやむを得ずレースに強制参加させられた人物ばかりだった。直人を始め、全員がどうしてこんな事にと思いつつも、愛する人を助けるために必死でマラソンをこなしていきます。ですが物語は彼らを容赦なく翻弄していき、レースの主催者がけしかけたボウガンレディ・ボウガンエンジェル達の登場を機に、血塗られたデスゲームマッチという色を帯び始めていった。

勝ち残るためには誰かを殺すしかない、そうして人殺しすら厭わなくなっていく参加者の中で直人はレースで知り合った『室田ルミ』らと協力していきます。迫り来る弾丸のように飛び交うボウガンの矢、参加者である水野アカリが手に入れたチェーンソーを扱って参加者を惨殺していった。

とにかく死ぬ

ここまでの話を見れば分かると思いますが、今作では登場人物たちがとにかく死んでいきます。ホラー作品だから死ぬのは当然でしょうが、それにしてはスプラッターな表現も多く、グロさで考えるとホラーという枠に当てはまるかは疑問だ。

筆者的に見た際、ただ流血シーンを多くして残酷描写を盛り込み、ラストを盛り上げようとしての展開にしようとしたのかもしれませんが、成功しかたどうかについては興行収入が明らかにしている。あえて明言しないが、色々とチャレンジしすぎて物語が雑多という印象を植え付けられてしまった感が残念だ。

グロさを求めている人には

この作品、ライブを見ておもしろいと感じる人はこんな人かもしれません。

  • ホラーでも登場人物が死んでいく姿を見て興奮する
  • 普通に死ぬよりは、圧巻の死に様を見てみたい
  • 背筋が凍りつくホラーよりも、音と映像の迫力で驚かされたい

ホラ―作品として人気も高い今作ですが、上記に当てはまらない人からするとイマイチ疑問が残る作品でもある。

1つシュールだと思ったのが、登場人物たちが家族などの愛する人たちの命がかかっているのに、律儀なほどマラソンをするためにユニフォームに着替えて小説片手に走るというのは笑ってしまった。本来なら笑うシーンではないのかもしれませんが、奇抜な展開に圧倒されてしまったことだけは認めよう。

とはいえ、リングなどのジャパンホラーの真骨頂でもある静かなる恐怖を求めている人よりは、アメリカなどで公開されているB級映画のスプラッター作品が好きという人には打って付けの作品といえます。しかし、ホラーとエロを結びつけるのはどうなのか、殺し合いのシーンが滑稽に見えて台無しではないか、そう思ったのは余談だ。