10代から熱い支持を受け続けるホラー作家、山田悠介の作品を知る

山田悠介の人気に火をつけた作品

リアル鬼ごっこの存在

そして山田悠介という作家がその名を知らしめる事になった作品であり、彼の名が全国規模で認知されるきっかけを創りだした『リアル鬼ごっこ』の存在は欠かせない。初めて書籍として出版したのは2001年、その頃からすでに作品は人気があり、なんと100万部を超えるベストセラー作品となっていたという。当時筆者は高校生だったが、友人たちに彼の作品を読んでいる人はいなかったので知らなかったと素直に吐露する。自身もリアル鬼ごっこという映画のCMを見て、こういう作家がいたのかと感心したのがきっかけだった。

公開された当初、2008年といえばリーマン・ショックが起こった年でもある。この頃は色々と経済的な意味で大変だったが、同時に社会的な問題もあったことからまるで同作の世界観を投影したような、既視感があった。もし仮にと、そうフィクションの世界を連想するとこの作品で繰り広げられている展開はなきにしもあらずかも知れません。

国とは一部の人間達の思惑によって動かされているのが真実、それに対して国民は反対する意思はあれど実際にその効力が発揮されることは殆ど無い。日本の状況を皮肉なほど語り、オマケに作中で日本の王様が取り決めた内容に従うしかない、そんな暴力的な表現も現代社会とマッチしていると取れる。

あながち風刺的な作品なのかもしれません、リアル鬼ごっこというのは。

世界観を読み解く

では改めてこのリアル鬼ごっこの世界観がどういったものなのかを見てみる。

まず最初に、この作品では平行世界という概念が存在している。ファンタジーかと思うが、内容はホラーよりのシリアスサスペンス作品といった方が適切だろう。そんな今作、現代ではない日本にて仮に君主制が未だ存在しているとした仮定で成り立つ世界があったとしよう。ある日王様が発言したそれは、王権神授説に則って言えば絶対的な権力を持って施工された。その試みとは、全国に広がる500万人以上の‘佐藤性'を減らすというもの。

佐藤の苗字を持つ人々は戸惑うも、王様が下したルールに則って特定条件こそ与えられる形だが、一定期間逃げるしかなくなります。そんな彼らを追い詰めるのは全国で凶悪犯罪を起こした殺人者を始めとした犯罪者が異形の面を身につけて襲ってくるというものだった。もし捕まれば王様の宣言通り減らされていくというルールにより、佐藤さんたちは一斉に逃げ惑います。

この催しを『リアル鬼ごっこ』と、文字通り鬼から逃げなければ死が待っているというデスゲームの始まりだった。しかしゲームにはいくつかのルールが定められており、そのルールに則って行動しなければならない。例え鬼でもルール違反をしたなら断罪されてしまうという深追いが許されない物となっている。絶対的なルールがしかれるこの鬼ごっこで守らなければならない項目とは何なのか、そこも確認してみる。

リアル鬼ごっこのルール

  • 1.一週間の期日で、毎日23時からの1時間が鬼ごっこの時間
  • 2.鬼ごっこ以外の時間は、何をしても問題ない
  • 3.逃げる時、必ず自分の足で逃走していなければならない
  • 4.逃げるか隠れるか、その判断も佐藤さん自身に委ねられている

基本的なルールはこのようになっている。

ただ追いかけられる佐藤さん側、追いかける鬼側の双方にもそれぞれルール厳守しなくてはならない物があった。

佐藤さん側の特殊ルール
  • 1.乗り物に乗用しての逃走は禁止。 鬼ごっこ開始時に乗っているところを見られれば、失格・その場で処刑される
  • 2.鬼に対して武力行為を厳禁、もし反抗すればテレビを利用しての公開処刑が全国ネットで放送される
  • 3.無理に逃げようとした場合、理由はどうあれその場で処刑される
鬼側の特殊ルール
  • 1.一日に必ず1人以上捕まえなくてはならない。
  • 2.もし誰も捕まえられなかった場合、厳罰が待っている
  • 3.捕まえた人数により、これまでの罪が減刑、釈放とされる

例え性が違っていても

ちなみに、この鬼ごっこの時間では乗用出来る乗り物は全て運行がストップする。その際、もし乗っている人がいたりした場合には、苗字に関係なく問答無用で殺されてしまうという、事実上国民全体がゲームに強制参加状態となっている。佐藤さん自身を匿う事については特別なルール違反はないが、それでも見つかった際には援護などをすれば間違いなく粛清の対象となってしまう。原作ではないが、後にコミカライズされた折には手助け禁止という制約が追加されている。

自分たちには関係がないとはいえ、かなり厳しい制約の中で国民はいつもどおりに暮らさなければならない、そんなジレンマに追いやられそうだ。

とにかく逃げるしかない

この1週間の鬼ごっこを勝ち抜いた佐藤さんには、王様から何でも好きな望みが叶えられるという。劇中では逃げ切る、というよりは王様との戦いに主人公が終止符を打って終劇となったため、望みを叶えたわけではない。物語はこれで終わりかと思われましたが、この後のメディアミックス展開が凄かった。

ヒットしたから続編を匂わそう、というよりは既に制作する気マンマンだった、そう見たほうが早い位に次作が発表されます。